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text:chomonju:s_chomonju160

古今著聞集 和歌第六

160 長寛のころ六角左衛門督家通中将にて侍りけるに仰せられて・・・

校訂本文

長寛のころ、六角左衛門督家通1)、中将にて侍りけるに、仰せられて2)、承香殿の梅を折らせられて、中宮の御方3)へ参らせられて、内侍に賜はせけり。「行きて見ねど、折りて見るよしを申すべし」と仰せられければ、すなはち持(も)て参りて4)、そのよし申しければ、御返し、

  色も香もえならぬ梅の花なれや

家通朝臣、帰り参りて、このよしを奏しければ、やがて御返事つかまつるべきよし、仰せられければ、

  匂ひは千世も変はらざらなん

翻刻

長寛の比六角左衛門督家通中将にて侍けるに仰られ
て承香殿の梅をおらせられて中宮の御方へまいらせられ
て内侍にたまはせけりゆきてみねとおりてみるよしを申
へしと仰られけれは則もてまいり其由申けれは御返し
 色も香もえならぬ梅の花なれや
家通朝臣帰りまいりて此よしを奏しけれはやかて御
返事つかまつるへきよしおおせられけれは
 にほひは千世もかはらさらなん/s120l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/120

1)
藤原家通
2)
主語は二条天皇
3)
藤原郁子
4)
底本「て」なし。諸本により補う。
text/chomonju/s_chomonju160.txt · 最終更新: 2020/02/27 23:03 by Satoshi Nakagawa