text:chomonju:s_chomonju548
古今著聞集 興言利口第二十五
548 しきりにたけ高き女とことにたけ低かりける男寝たりけるに・・・
校訂本文
しきりにたけ高き女と、ことにたけ低(ひき)かりける男、寝たりけるに、女の股のほどに男の顔ありて侍りけり。
男寝覚めて、おのが口の女の前のほどにあたりたりけるを、「顔ぞ」と思ひて、「あさましの御口の香(か)の臭さや」と言へりければ、女もまた寝ぼけて、男の口ぞとは思ひ寄らで、「外(と)の人の言ふぞ」と心得てなむ、「そのとなり、さかしらぞ」と答へたりける。
をかしかりけることなり。
翻刻
しきりにたけたかき女とことにたけひきかり/s434r
ける男ねたりけるに女のまたのほとに男のか ほありて侍けり男ねさめてをのか口の女の まへのほとにあたりたりけるをかほそとおも ひてあさましの御口のかのくささやといへりけれは 女も又ねほけて男のくちそとは思よらて外人 のいふそと心えてなむそのとなりさかしらそと こたへたりけるをかしかりける事也/s434l
text/chomonju/s_chomonju548.txt · 最終更新: 2020/10/17 18:36 by Satoshi Nakagawa