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蒙求和歌
第1第7話(7) 史丹青蒲 花
校訂本文
史丹青蒲 花
史丹、字は君仲、魯国の人なり。賢人として、忠臣たりき。しきりにうつりて侍中たり。
時に、元帝、太子を捨てて、定陶王1)に位を譲らむとす。このこと、世に聞こえて、人おほきにかたぶけども、言葉を出だす者なし。
史丹、おほやけの御とのごもれる内に入りて、青蒲の上に伏して、「皇儲2)定まりにし上に、横ざまの政(まつりごと)出で来たらば、3)国に世の乱れとなるべし」と泣く泣くいさめ申しければ、おほやけ、これにしたがひ給ひけり。
青蒲は荒き蒲(がま)の筵(むしろ)なり。また、青規の地を青蒲といふなり。
いたづらに春の4)主(あるじ)をたづぬらむ春の深山(みやま)の道を忘れて
翻刻
史丹青蒲 花 史丹字君仲魯国人也賢人トシテ而忠臣タリキ 頻ニウツリテ侍中タリ時ニ元帝太子ヲステテ定陶王ニ位ヲ ユツラムトス此事世ニ聞ヘテ人ヲホキニカタフケトモコト ハヲ出ス者无史丹ヲホヤケノ御トノコモレル内ニ入テ青 蒲ノウヱニフシテ皇儲キサタマリニシウヱニヨコサマノ マツリコト出キタラハス国ニ世ノミタレト成ルヘシトナクナクイ サメ申ケレハヲホヤケ此ニ随ヒ給ケリ 青蒲ハアラキカマノ筵ナリ又青規ノ地ヲ青蒲ト云也 イタツラニ春ノアルシヲタツヌラム春ノミヤマノミチヲハスレテ/d1-9l
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka01-07.txt · 最終更新: 2017/10/10 02:13 by Satoshi Nakagawa